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顔彩で風景画を描く方法

皆様こんにちは。墨絵師yoshimiです。

最近フランスとのお仕事があり、風景画を日本画で描いて欲しいというご依頼がありました。今回は墨と顔彩を使用した風景画を写真を交えてお伝え出来たらと思います。

顔彩とは?

顔彩も絵具の一部です。絵具は基本的に「顔料」という色の粉に接着剤(和紙や紙に定着するもの)を混ぜて作ります。その接着剤の違いで、絵具にも色々な種類があります。

水彩絵の具の場合
顔料+アラビアゴム

油絵の具の場合
顔料+油

日本画と顔彩の場合
顔料+膠(ニカワ)

つまり、顔彩は日本画とほぼ一緒(一部)ということなんです。

ちなみに膠というのは、動物や魚の骨を煮出してつくった、日本古来の、絵画材料の接着剤です。画材屋さんで販売されているものを見ると若干黄みがかっていて独特なニオイがあります。ベタっとしています…

日本画で使用する岩絵の具は粉を自分で膠で混ぜて作るのでとても手間がかかるのですが、顔彩だと予め膠と混ぜて角皿にアイシャドウのように入れられているので、水を付けた筆で溶いてすぐ使用できます。とても簡単なので初心者で日本画を描きたい!という方にはとてもおススメです。

ちなみに私が使用しているのは吉祥(Kissho) さんの日本画用絵具 角顔彩 上製 24色です。

どの顔彩を選べばいい?

顔彩は色々メーカーさんありますが、特に「吉祥」と「呉竹」で迷われる方がいらっしゃると思います。

私は最終的に吉祥さんの顔彩が好きです。(※好みがあると思いますが)

なぜかというと、私はかなり色を混ぜて描くので、比較的淡い色味の吉祥さんと相性が良いのです。呉竹さんの顔彩は吉祥さんよりも鮮やかな印象なので、パキっとした発色がお好みの方には合うかと思います。ちなみに呉竹さんの顔彩に特徴的なのは、APという絵具の安全性を示す基準を示すマークが表示されている点です。あまり気にしませんが…

顔彩を使用した風景画の工程

これは我流ですが…和紙に鉛筆で直接下書きをする方も多いのですが、鉛筆の線があまり好きではないので私は画用紙に下絵を描いてその上に和紙を置き、描いていくスタイルです。和紙に直接描いた後に消しゴムで消す時に和紙の表面が荒れるのもあまり好きではなく…。

この日は保育園お休みだったのでわが子も一緒にお絵描きしております。

下絵が終わったら和紙(今回は画仙紙を使います)を下絵の上に重ねて墨で線を描いていきます。

細かい絵が大好きなもので、ライラックの花を1つ1つ丁寧に描いていきます。ライラックのお花は花びらが4枚なのですね。

墨がよく乾いたら顔彩の出番です!ここでよく乾かさないと墨が混じってどす黒くなります。私は一晩乾かしました。個人差があると思いますが、境界をはっきり描けない顔彩だからこそ、水分をたっぷり含ませて滲みで調整していきます。調整というか、水と顔彩の協業というか。

石畳のあたりはもう沢山の色を重ねては濡らしてを何回も繰り返します最初に濃い色を塗ると後戻りできなくなるので薄い色から初めてどんどん深みを出していきます

傘の周りの朱色が滲んでいると思うのですが、水をつけると綺麗にぼけていきます。なので重要なのは色を扱う筆と、水のみを扱う筆の2つを用意して交互に使っていくことかなと思います。上記の写真は水のみの綺麗な筆ではみ出した朱色をぼかしている様子です。

水を大量に使って波打ちが激しくて汚い…と思われるかもですが、最後にちゃんと裏打ち(和紙をまっすぐにする作業)を行うのでご安心してください。

こちらが裏打ちも完了した風景画になります。エッフェル塔さんが関係しているお仕事なので、エッフェル塔を描きました。顔彩を使用するだけでとても柔らかい和テイストになったのではないかな?と思います。

いつも水を極力使わないハッキリとしたPOP画や墨イラストを手掛けるので、このような絵を描く時はいつも以上に神経を使います。

まだ水との協業が苦手な部分もあるのですが、滲みをうまく使うとなんとも言えない和やかなテイストの絵が完成するので是非チャレンジしてみていただきたいなと思います。

顔彩はネットでも沢山販売されておりますし、実際に見て購入したいという方は世界堂に行かれるのがおすすめです。

この記事の著者

井上 慶美

1986年生まれ。大学では 理工学部 生物学科にて化粧品原料であるセラミドの研究を行う。化粧品メーカーにてブランド立ち上げを行う傍ら墨絵師として活動を開始し、2023年9月に独立。
フランス留学をきっかけに日本文化と伝統を大事にしたいという想いを持ち、元々好きだった絵を通して日本文化を発信するために活動中。
昔ながらの技法を大事にしつつ現代に即した要素も取り入れながら墨絵を展開している。

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