インバウンド向け店舗の絵とは?
まず初めに…
円安の加速が止まりませんね!日本大好きな私にとってはとても複雑な気持ちです。その一方で訪日外国人の数もどんどん増えていって、世界中の方に日本の魅力をお伝えするには絶好の機会なのでは?とワクワクする気持ちもあります。
実際に日本政府観光局のサイトを見ると、2024年3月の訪日外客数は、3,081,600人!前年同月比では69.5%増、2019年同月比では11.6%増となって単月として過去最高を更新するとともに、初めて300万人を突破したそうです。個人的には日本はもう「モノづくりの国」ではなく、「観光の国」なのでは?と思う程です。実際に海外に日本の技術力は流れていますしね…
でもそうやって歴史は絶えず変化していくので、それはそれで良いのでは?と思っています。
大事なのは、日本が育ててきた文化や精神を絶やさないということだと思います。
その一端として日本画を描く私は一役買っているのかなと思っております。
今日もインバウンド店の絵に関してご紹介していこうと思います。
道頓堀のインバウンド店の壁絵
こちらは海外の方から大人気!道頓堀の川沿いにある複合施設の2階にある飲食店さんです。
またまたラーメン屋さんです。面白いラーメン屋さんで、自分で湯切り&盛り付けを行うことができる体験型ラーメン店です。こちらの社長さんが私と同い年なのですが、とてもユーモラスな方で大尊敬しております。とにかくデザインがお好きな方で、いつもデザインの話をするとウキウキします。
完成した壁絵はこちら!私のInstagramではリールで描いている光景を公開しております。
左右の壁4M×1.5Mの壁に描かせていただきました。
なんと…壁の絵を見ながら自らが作ったラーメンを食べるというスタイル!このお話を聞いた時は「じっくり見られるからめちゃくちゃ美しく仕上げたい」と思いました。そして海外の方が多いので、日本らしさマックスの絵を仕上げたいと思いました。
今回の施工会社さんはいつも一緒に苦楽を乗り越えた大阪の会社さん。予め、どんな壁だと描きやすいか確認の電話をくださったのでとても描きやすかったです。
インバウンドに受ける絵とは
とにかく「分かりやすさ」だと思っています。
私が海外の方をInstagramでよく研究するのですが、ハッシュタグで #japanesetatoo ってとても人気なんですよね。ハッシュタグの中身を見てみると、やはり龍や般若はとても人気!つまり龍や般若を描くと海外の方にとっても親和性が高く喜んでいただけるということです。
ちなみに右面は鬼と虎、左面は般若と龍にしました。
理由としては上記の海外の方にとっての「分かりやすさ」が第一なのですが、まず鬼と虎を描いた理由は鬼と虎は親和性が高いという点と、金棒を持つことにより「最強」という意味合いを出したかったからです。
そして般若と龍に関してもまずは分かりやすいという点はありますが、実は般若はよく嫉妬に狂った女性が化けた姿と言われていますが、般若という言葉の「仏の智慧」という意味があります。仏の智慧とは様々な修行を積み、その結果から得られる悟りのこととされています。同じように崇高なものとして崇められている龍も一緒に描くことで、パワーを感じる壁にさせていただきました。
壁絵を背景に写真を撮ってくださっている方がとても多くうれしいです。
絵を描きやすい壁クロス
インバウンド店さんであれば、和紙や土壁が和風感を演出できるので採用したいと考えると思います。和紙クロスはサンゲツさんのショールームで具体的に素材を確認できるのですが、特に好きなものがあります。サンゲツさんのエクセレントシリーズ「SGB2081」番の和紙は凹凸が少なく、撥水加工も適度なのでしっかり屋内用のペンキであれば吸収してくれます。
サンゲツさんはクロスのサンプルを送ってくれるので問い合わせてみるのがベストだと思います。和紙クロスはこちらのページにカタログがあります。
撥水加工無しの和紙クロスもありますが、さすがに水が飛ぶかもしれない飲食店さんだと少し怖いので採用されているのはまだ聞いたことがないです。
絵を描く工程
こんな感じのただ白いキャンバスです。ここにまずは鉛筆で下書きをしていきます。強く描きすぎると鉛筆で消えなくなるので、注意が必要です。
下の紙が原画です。その絵を基に大きいな壁に間隔で拡大して描いていきます。プロジェクターで拡大して映す方法もあるのですが、その手間が面倒なのでフリーハンドで下書きします。
今回はコンクリートだったので、養生は比較的強い緑のテープで固定しています。
完成したら、背景を黄金のラッカーで塗りたくります。
本当は金箔のように四角枠をつけたかったのですが、絵が複雑すぎたため断念。
ここで「ラッカーって何!?」と思われた方もいらっしゃると思います。ラッカーとはトルエンやアセトンなど揮発性が高い溶媒にアクリル樹脂などを溶かした揮発性塗料です。ツヤが出てとても使いやすいですが、乾燥が速い分塗膜表面が薄いので天候にものすごく左右されます。なので屋外では使わないです。ちなみに私が今回背景に使用したラッカーはこちらの溶剤タイプです。
スプレータイプのラッカーではなく、ラッカー薄め液で希釈しながら使うタイプです。
リアルな金箔感をい出すために、ラッカー薄め液の量を調整しながらコツコツを塗りつぶしていきました。
※ラッカーを使う時は専用のマスクは必須です。私はすぐ頭が痛くなってしまいました。
この壁絵を見れる店舗のご紹介
もし、“壁に絵を描かなければならない”というアーティストの方や、“実際どんな風にお店の壁に絵を描いたもらえるのか見てみたい”というオーナーさんは、是非大阪 道頓堀の「人類みな麺類FACTORY」にお越しいただき実際の壁絵をご覧いただけると嬉しいです。
もちろん自分で作るラーメンも楽しいです。海外のお友達と行くとより良いかもしれないですよね。
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